免責不許可事由とは、文字通り、免責(支払い義務の免除)を許可する上で障害となる事柄を言います。
破産法には、下記の通り、規定されています。
難しい用語が並んでいますので、もう少しわかりやすく解説します。
番号は上記のものに対応しています。
免責不許可事由に該当する行為がなかった場合、裁判所は免責決定をします。そうすると、免責不許可事由に該当する行為があった場合、どうなるのでしょうか?
この点ですが、裁判所は免責不許可事由に該当する場合であっても、破産手続き開始の決定に至る経緯その他一切の事情を考慮して、免責決定をすることができることになっています。(破産法252条2項)
これを裁量免責といいます。
破産者が非常に反省している、借金を抱えた事情に同情すべき点がある、現在は更正し、再発の危険もないなどの事情を考慮して免責決定を出してくれる場合が多いのです。
ここで、平成29年10月、大阪地裁の運用について、変更がありました。
それまでは、一定額を積み立てて、債権者にその積み立てたお金を配当(按分弁済といいます)すれば、同時廃止事件として処理していたのですが、この手続きがなくなりました。
よくあるケースといえば、一般の債権者は司法書士や弁護士が介入しているので、請求が止まっているのですが、その間に、お金を借りていた親戚の人にお金を返してしまうというものです。
よくありがちですが、これは上記の免責不許可事由の3に当たる行為で、禁止されています。受任時に必ず、してはいけないことだと注意いたしますが、ご本人も知ってか知らずか、返済してしまう場合があります。
クレジットの借金と親戚の借金は違うと思われる方が多いことが原因の一つに挙げられますが、基本的に借金に差はありません。
この場合、以前ですと、返済してしまった額相当額を積み立てをして、配当に回せば、管財事件としてではなく、同時廃止として処理し、最終的には裁量免責を経て終結という流れだったのですが、現在は破産管財事件となっていますので、注意が必要です。
ただし、破産管財事件となるかどうかの違いであって、破産管財事件となれば、免責をもらえないということではありません。
免責決定をするのに妥当かどうかを、破産管財人は意見を添えて、裁判所
に提出することになります。そして、それを踏まえ、裁判所は裁量免責の可否を判断するということになります。
少し、横道にそれましたが、このように、一つでも免責不許可事由があるからと言って、まったく免責が認められないということはありませんので、自己破産を検討しているけど、自分には、免責不許可事由があるから破産ができないと必要以上に悲観する必要はありません。
重要なことは、今までのお金の使い方を反省し、2度と同じ過ちを犯さないようにすることです。
ちなみに、当事務所における自己破産の申立ての中で免責不許可事由がまったくない方はほとんどいらっしゃいません。
最終的には、裁量免責を得て、みなさん立派に更正されています。